春休みが終わって一ヶ月。

窓の外は青空が続いている。

こんな暖かい日に居眠りするななんて、どう考えたって無理に決まってる。

それなのに。

「絶対不公平だよぉ」

ちょうど先生に当てられたときに寝ちゃってたからって、何で私だけ特別に宿題出されなきゃなんないのよ。

他にも寝てた人なんて、たくさんいるのに。

「しょうがないじゃない。朱音(あかね)が寝てたことは事実なんだから」

「だってさあ」

親友の恵美(えみ)が言っていることが正しいとしても、どうしても納得がいかない。だって居眠りの常習犯は、私以外にだってたくさんいるのに。

「ほらほら、次移動だよ。早く準備しなって」

「はあい」

恵美に言われてしぶしぶ鞄の中を探る。

次の授業は音楽だ。

いるものは音楽の教科書と、先週配られた楽譜とリコーダー。

それらを抱えて、私と恵美は音楽室へ向かった。