僕は顔色を変えずに言った。

この人の目は、いやな目をしてる。

でも、どこか優しくて・・・美しくて・・・

僕と、似ている気がした。

「・・・こい。お前を飼ってやる。気に入った。お前は今日から俺の右腕だ」

吸い込まれそうな情熱の瞳。

僕は初めて人を、きれいだ、と思った。

この人は、きれいな人だと。


       10年後

僕は、今遊女として働いている。

もちろん、僕は女ではないし、犯罪だと思っている。

でも、佐助さんが思うことなら。

佐助さんがやれというならば。

僕は何にだってなってやる。

あなたのためなら僕は、

罪を犯し続けよう。

僕は最低?

最低でもいい。

あの人の、笑顔が見れるなら、それでいい。

それだけで、いい。

「麗姫ちゃ~ん!お客様だよ~~」

おかみの声が聞こえる。

行かなければ・・・

「はい、只今~~」

ここで働けば、かなりの収入を得られる。

1か月で、2人分の生活費を稼ぐことなど、簡単だ。

1階に行くと、イケメンな男が立っていた。

こんなやつも、ここに来るとは、意外だ。

女なら、いくらでも捕まえられるだろうに。

「君か、麗姫は。噂どうりの別嬪だな・・・」

僕は、男だよ。

とりあえず、この人を案内せねば。

「こちらへどうぞ」

営業スマイルで尋ねる。

部屋では、お酒を飲んだりしていた。

僕はまだ15。

お酒のおいしさは分からないが、飲まなければならない。

すべては、佐助さんのため