「あーあ…」



予想通り、作品はプールのど真ん中にぷかぷかと浮いていた。



あんなど真ん中じゃ、取りに行けない。

しかも、画用紙に描いた絵だからボツになるのは決まってー…


「何、呑気に見てんだ!?早くしないと、用紙に水含むぞ!!」


プールサイドで水に沈んで行く作品を見ていると、背後から声が聞こえた。


「!」


と思ったら、その声の主はプールに飛び込んだ。



え…



「沢先生!?」


ワイシャツ姿のままで飛び込んだ、先生。


クロールで、プールの真ん中にある作品に泳いで向かっている。


どうして…


「あー!!間に合わなかったか!!!」


作品にたどり着いた先生が、水を叩きながら叫んだ。



「永井ー!ダメだ。間に合わなかった」


破れかかった作品を見せながら、先生は苦笑いをしている。



「…」



…ダメでいいんだよ。

そのために、窓から飛ばしたんだもん。


心の中では思っていても、口に出して言えない。


だって…