沈黙を破ったのは彩だった。


さっきまでの空気を払拭するかのように、元気な声でクラスメートを見る。



「ごめんね。せっかくの昼休みに。ここ片付けちゃうね」



彩が払い落としたおにぎりを一生懸命集めようとする。




散らばった米粒が思っていた以上に床にはりつき、簡単にとれてはくれない。



ティッシュで黙々と集める彩の姿に、


「仲直りしとけよ」



と声をかけみんなは席に戻って行った。



(仲直りも何も…竜ちゃんが悪いんじゃん)



イライラをぬぐい去るかのように、彩は一心不乱に片付けていた。