「止めてよ!」


竜也の手を払いのけたと同時に、おにぎりが床に落ちた。


彩と竜也の様子に、教室に残っていた数人がどうした?と声をかけてくるが、二人の耳には届かない。


「お前…痩せすぎでキモイんだよ」



キモイキモイ。何度言えばこの男は気がすむのだろう。


彩はイライラしてくる。


「ほっといてよ。私が痩せすぎでキモくても、竜ちゃんには関係ないでしょ」



久しぶりの学校で何故キモイを連発されなければいけないのかと思うと泣きたくなる。



しかし目の前に竜也がいる為、彩は必死に泣くのを我慢する。



「あっそ。関係ないなら良いよ。好きにしろ」


そう言うと竜也は教室から出て行った。


残った彩と数人のクラスメートに微妙な空気が流れる。