「佑先輩・・・・やっぱり佑先輩といると落ち着きますね」


彩が笑えば、佑介も笑ってくれる。


「俺も彩ちゃんの側にいると安心するよ」



そう言った時・・・彩の家から喧嘩の声が聞こえてくる。




「なんでいつもそうなの?」・・・母のヒステリックな声。



「お前に何が分かる?お前なんかと結婚するんじゃなかったよ」・・・酒に酔った父の声。



彩がバツの悪そうな、泣きそうな顔を佑介に向けた。



「ごめんなさい・・・相変わらず・・・うちの家は・・・・どうしようもないですよね」



どうしようもないで済ましてしまう自分が悲しかった・・・しかしそれ以外にしっくりくる言葉を彩は知らない。



彩が物心ついた時から・・・彩の家は壊れていたから。


何度泣いて仲良くしようと訴えても、母も父も変わらなかった。



だからいつからか彩も言うのを辞めた。