人前でいちゃつく事に慣れていない彩は、急いで膝から降りようとするが佑介の手がそれを許さない。



どうしようと困っていると、救いの声がかかった。



…声の主に即その思いはかき消されるものの。



「ここ俺らの教室の前なんで、いちゃつくの辞めてもらえます？」



先輩を先輩とも思わないその言い方に、一瞬佑介の顔も変わるが、すぐにいつも通りに戻った。



「あー。ごめんね？久しぶりに可愛い彼女に会ったからさ」



まるで気にしない佑介は、まだ彩を膝に乗せたまま。



ただならぬ空気に彩が顔をあげると…竜也がいた。



気まずい彩が目をそらすと、佑介は彩の頭をなぜてくれる。



「迷惑かけてないだろ？」


人の好い笑みを浮かべ話す佑介だが目は笑っていない。



「人のいちゃつき見て良い気分の奴はいないですよ？先輩？」



明らかに迷惑だと言っている竜也に、佑介は溜め息をつくと彩を離した。