「そっか。私はまなみの幸せを願うだけ。ただね、まなみも分かってると思うけど、いつまでもこの幸せは続かないよ。」


「まだね、お金だけならいいの。割りきれるから。そこに愛が存在しただけで、愛人失格だよ。」


りさは淡々と最後にそう言って眠りについた。


「・・・愛かぁ・・・。愛?愛?愛・・?」


確かに西山京介の全てを欲しいと思った。


奥様が羨ましいとも思った。


全てを投げ出しても彼が欲しいと思った。


でも彼は?


しょせん私は安物のグラス。


いくらでも替えはきく。

だから・・・


早くに終わらせなければ。


じゃなくちゃ、私が破滅してしまう。


そう思った瞬間に彼から貰った歯ブラシをゴミ箱に捨てた。


投げるのではなく、そっとそっと・・・。