虎太郎はちょっと身を乗り出し、「例えばさ」と忍を真っ直ぐ見た。
「忍さんならどんな所がムカツク?」
「私?…それは右京の?」
首を傾げる忍に虎太郎がうんうんと頷くと右京がフッと笑った。
「忍が俺にムカツクなんて…」
「無自覚な所とか~」
「…って、あるんかい!?」
「そりゃあるわよ!」
眉間に皺を寄せる右京に忍はクスクスと笑いながら答えた。
「あとは…処構わずなとことか~…」
「それに関してはリサは大丈夫。」
むしろリサが“処構わず”だ。
「あとは?」
「そうね~…女性に対して優しいとこかな?」
「それは紳士たるもの普通だろ?」
イギリスでの生活で自然と身に着いたそれは、今までの自分の態度を反省させられた。
男女分け隔てなく接してきたが、それは紳士としてあるまじき態度だと思い知らされたのだ。