右京は「まさか」と言いづらそうな虎太郎を見る。
「…“リサ”か?」
「…なんか、怒られて…」
「“怒られて”?」
「…追い出された…」
虎太郎の言葉に右京は飲んでいたビールを吹きそうになった。
そして、彼に背を向けて必死で笑いを堪える右京に虎太郎は「笑うな!!」と真っ赤になって怒る。
「お前、また地雷踏んだのかよ!?」
「踏んでないよ!…多分…」
「踏んだんじゃねぇの?だから追い出されたんだろ?」
「そっ…そうだとしても“出てけ”は酷いと思わない!?」
「ん~…理由が解らないからなんとも言えない。」
だが、鈍い虎太郎にリサがキレる場面は何度となく見てきた。
おそらく今回も同じような感じだろう事は想像つく。
「まぁ、女心は女にしか解らないさ。」
丁度その時、携帯に忍から“今、帰りの電車”とメールが来て右京は立ち上がった。
「忍迎えに行ってくるから、戻るまでに自分に非がないか考えてろ。」
そう言うと虎太郎は力なく「はぁい」と答えた。