ゴウはそんな様子に「じゃあ仕方ねぇな」と笑った。



右京は時計をチラッと見てちょっと考えると「後でで良ければ…」と口を開いた。



「忍が来たらもう一匹の犬、貸そうか?」



「もう一匹…って潤か!?助かるぜ!」



「あのさ~さっきから“もう一匹、もう一匹”って俺も犬なわけ~?」



「「違うのか?」」



「……酷い…酷いよ!!」



涙目になった虎太郎を見て右京とゴウは揃って吹き出した。



「冗談だよ!泣くことねぇだろ~が!」



右京はゴウからビールを受け取ると虎太郎に注いでやった。



「…で?こっちにはなんで戻った?」



「…右京に会いたくて…」



「あっそう。」



「…ねぇ…冷たくない!?久しぶりに会ったのに冷たくない!?」



「うぜーな…判ったから泣くな!」



虎太郎は頷きながら、手の甲で目をゴシゴシと拭き鼻を啜る。



「黄泉でヘマでもしたのか?」



「俺が?…まさか!!こう見えても“力天使(ヴァーチューズ)”だよ!?仕事は完璧だよ!」



「じゃあ、なんで天界に居ないんだよ…。」



右京がそう言うと虎太郎は視線を反らして口ごもった。