おそらく、父と右京の子供の喧嘩並みの低レベルな言い争いに呆れてるだろう。



その点は忍も同じだった。



何せこの二人は“似た者同士”で、一旦騒ぎ出すと止まらない。



忍はもう何も言う気になれず、早々に朝食を済ませると出勤準備に取り掛かった。



右京と父は母に一喝され、睨みあいながらも一時休戦になったようだ。



「ヤバイヤバイ」と遅刻寸前の忍が慌しく右京の前を通り過ぎる。



その様子を見て右京はクスリと笑った。



「送ってやるよ。駅までだろ?」



「ホント!?助かる!」



汗だくで電車に乗るのを覚悟していた忍は右京の申し出を快く受けた。



ガレージに駐車してあった自分の愛車は驚くほど綺麗だった。



「おじいちゃんが時々乗ってるから。」



右京は忍の言葉に「なるほど」と呟いてエンジンを掛けた。