開国維新の洋魔戦記

手代木はスサノオをリリスに向かって操った。


末永が手代木の援護をした。


スサノオはリリスと対峙した。


リリスが言った。


「あなたは私を攻撃できないわよ。

私に傷を付ければ、妹が死ぬわよ」


リリスはスサノオを剣で斬りつけた。


スサノオはかわしきれずに剣がかすった。


手代木の体にスサノオと同じ部分に痛みが走った。



『どうすれば?』


奈津美が手代木に囁いた。


「乗っている堕天使を狙え。

落ちたときがチャンスだ」



手代木はスサノオをリリスに攻撃すると見せかけ、乗っている堕天使を攻撃した。


堕天使の翼が折れてリリスが背中から落ちていった。



リリスは土煙りを上げて地面に落ちた。



奈津美がつぶやいた。


「リリスを体から出して実体化して、体を守るから、そこがチャンスだと思ったが、体自体を霊力で強化したのか」


手代木が言った。


「なんて奴だ」
土煙りの中からリリスが現れた。


リリスは妹の胸を叩き言った。


「お前たち、私がこの体から離れると思ったのか?」


奈津美が手代木に次の策を言った。


「スサノオの実体化を解いて、妹の体に入れ」


手代木はスサノオを霊体化して妹の体に溶けるように入っていった。


リリスが驚いた顔をして言った。


「バカなことをするな!」
リリスの動きが止まった。


彼女の体内でリリスとスサノオが戦っているようだ。



奈津美は葵の体が堕天使に奪われないように守った。
葵の体の中では、リリスとスサノオが戦っていた。



スサノオが光、リリスが闇だった。



スサノオが剣でリリスも剣で応戦していた。



力は互角だった。



スサノオが言った。



「葵から離れろ」



リリスが答えた。



「本人がそう願わなければ、無理だ。

こいつの精神は我が支配下にある」



スサノオを使って手代木は叫んだ


「あおいー」



返事は無かった。


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外では手代木が霊糸を使ってスサノオを操作していた。


手代木の中に声が入ってきた。



『スサノオでリリスと組み付いて体外に引っ張り出しなさい』



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手代木は、スサノオでリリスの剣をかわしてリリスに組み付くと霊糸で引っ張った。



リリスが抵抗した。


しかし、リリスの抵抗はだんだん弱くなってきた。



葵の声が聞こえてきた。



「お兄様」



闇の中から葵が現れてきた。



葵はリリスを追い出すのを手伝った。



「クソッー」



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リリスが徐々に体外に出てきた。


葵の体からスサノオとそれに引きずられるようにリリスが現れてきた。



リリスは抵抗していたが、葵の意識が戻り、彼女を排除しようという意識により体から出された。



リリスは実体化するのに、スサノオは実体化が遅れたその隙をついてリリスはコウモリの様な羽を出して飛び立った。



「覚えていろ。

まだ、やられたわけではないからな。

お前ら、引き上げるぞ」



その言葉で堕天使達はリリスに続いて逃げていった。
葵は手代木の腕の中で正気を取り戻した。



奈津実が言った。



「これで、一安心ね。

あとは、体力を回復させればいいわね」



手代木が力強く言った。


「この勢いで、みんなでサタンをやっつけましょう」


奈津実が首を振った。


「まだ、無理ね。

霊力にスタミナが無いわ。

手代木さんも末永さんも憑き神を使いこなせていないのよ。

今も、奴らを追い返せたのは奇跡に近いわ」


末永が尋ねた。


「具体的に、どこが悪いんだ?」


奈津実が言った。


「憑き神の力を引き出せてないのよ。

もっと力強いし。

なんと言うか。

暴走の一歩手前まで力を引き出さないとダメなのよ。

やっぱり、体内に取り込んで闘うしかないのかしら」


手代木が訊いた。


「前にやっていた方法だろう。

危険だから止めろと言っていたじゃないか」


奈津実が答えた。


「力的にはその方が出せるのよ。

ただし、葵ちゃんがリリスに乗っ取られたように、体を憑き神に乗っ取られてしまうのよ。

だからあまり使いたく無い技なの」
手代木は言った。



「つまり、自分をしっかり持てと言うことなんだろう」



奈津美は頷いた。



「そう。

しっかりしていればいいのだけど、それが難しいのよ。

愛が必要なのよ」



末永が手代木と葵を見ながら言った。



「愛か。

誰かが気にかけてくれるということが大事なんだな」

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