「な、なんでっ?だって、距離、離れているし、全然関係ないじゃない!」

「……物分リノ悪イヤツメ。人ハ、人ト繋ガッテイル生物ダ。誰カガ消エレバ、他ノ誰カモ消エル。連鎖反応ガ起キテ、次カラ次ヘト消エテイク」


がくがくがく、がたがたがた、ぶるぶるぶる、ふらふらふら。


「今モナオ、消エテイッテイルゼ。オマエノ昔ノ友達、憧レダッタ黒チャン先生、学校、町……」


がくがくがく、がたがたがた、ぶるぶるぶる、ふらふらふら。


ふるえが、また、とまらないああ、もう、これ、ふるえじゃなくて、からだのなかのないぞうとかほねとかがおかしくなっているかんじがして。


「ツマリ、コノ町ドコロカ、日本れべる、ソシテ世界れべるデ、消滅ノ辻褄アワセガ進ンデイルノサ。秒単位デ、物ガ、人ガ、町ガ、文明ガ、歴史ガ、世界ガ、消エテイッテイルンダゼ。……スゲエダロ?」

「い、や……、嫌……」

わたしは、ただ、目の前の、気に食わないものを消しただけなのに。

わたしが今住んでいる町の一部、そして、ある程度の人を消した「だけ」なのに。

波及効果的に、全てのモノが、人が、消えていく。

「と、とめてっ、除消!お願い、何とかしてえ!」

「……言ッタロ、俺ニ出来ルノハ消スダケダッテ。消エチマッタモノハモウ、戻ッテコネエノサ。……オマエノ親父ト弟ノヨウニナ」


ああ。


あああ。


ああああ、あああああ!


「父親ノホウハ、ソイツノ両親、ツマリ、オマエノ祖父母ガ消エチマッタタメニ、存在シナイコトニナッタ。回リ回ッテ、逆方向カラ来タッテワケダ」


いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだなんでうそだやめてゆるしておねがいもどしてとめてたすけてだれかかみさま!


「弟ハ、母親ダケデナク、父親マデ消エタンダ。同ジヨウニ、存在スル理由ガナクナッタカラ、消エタ。マア、今消エテイッテイル奴ハ、ホトンドソンナ理由ダナ」


これはゆめだこれはゆめだこれはゆめだこれはゆめだこれはゆめだこれはゆめだはやくさめてはやくさめてはやくさめてはやくさめてはやくさめてはやくさめて!


「親ガ存在シナケレバ、子モ存在シネエ。……ツウコトハ、ダ」