平坦な道が続いて。下り坂があって。また平坦な道が続いて。

学校に着いた。


正確には、学校があったはずの場所、に着いた。


……学校が、ない。


消えていた。跡形もなく。そこもまた、空き地になっていた。

これは、わたしじゃない。わたし、学校なんて、消してない。

除消?

でも、影響が大きすぎる辻褄あわせは咎になるって。そう言っていた除消が、やるはずがない。また、上界へ帰れなくなってしまう。

それじゃあ、一体どうして、学校が、消えているの?


ふと。

なにか、全身が冷たいものに覆われたような感じがして。

周りを見回してみた。

そして、気づいた。

学校だけじゃない。

学校の前にあった文房具屋さんが消えている。

通学路の途中にあったマンションが消えている。

家が、消えている。たくさん、たくさん、消えている。

それはあまりにも、違和感があって、正常じゃなくて。

景色が、穴ぼこだらけになっていた。


そして。

建物や施設だけじゃなかった。

……人がいない。

一人も、たったのひとりも、いない。

だれも、いない。

犬もいない。猫もいない。スズメもいない。カラスもいない。

一切の音が消え失せた世界。なにも無い世界。

いつのまにか、わたしは駆け出していた。

どこへ?どこでもいい。とにかく、人のいる場所へ。

そうだ、家。家に帰ろう。パパがいて、リュウ君のいる、家に帰ろう。