★ 響 ★


まだ帰したくなかった。


まだ話をしたかった。


まだ一緒に歩きたかった。


二人の時間でいたかった。


離れたくなかった。



自分勝手な感情だけが、本能だけが体を動かした。




グイッッ!!




彼女を抱きしめた。



彼女はびっくりしてるのか固まって無言だ。



街灯が近くで二人を照らす。




「そ、園田先輩??」



「ど、どうしちゃったんですかっっ??」



「突然、ごめん。俺さ…本瀬のあの顔が忘れられなくて…俺、……本瀬が好きだ…」




自分で言って驚いてる。



自慢じゃないが、自分から告る事はした事がない。フラれる事もない。



抱きしめてる彼女は小さくて髪が頬に少しかかっていい香がした。