★ 響 ★



俺はずっと手を握ってた。


眠ってる沙来の顔をずっと見ながら…


俺の心の中は後悔しかなかった…

俺のせい以外何ものでもない。

あの時ちゃんと断ればこんな事にはならなかった。

沙来をこんな目に合わせる事なかった。


包帯でしっかり巻いてある腕が痛々しい…


自分に腹立たしいのと悔しいのと苛立ちが混じり合って


「…っっ俺はー……」


グッと握る手に力が入る…



すると沙来の指先が動いた…


「…う…っん…」


「…沙来っ…!」



ゆっくり目を開けた沙来は


「…響……、わた…し…」


この状態が理解出来ないような様子だった。

俺の目を見て体を動かそうとして一瞬表情が変わった。


「沙来、起きなくていい…そのまま…」


俺は小さな声で優しくそっと言った…


すると少し安心したような目で無言のままの沙来は部屋の壁を眺めてた…



そして思い出したかのように、俺の顔を見て微笑んだかのように見えた…



なんでこんな目に合ってんのにそんな顔俺にするんだよ…

なんで笑えるんだよ…

なんですぐに聞いてこないんだよ…

なんで怒らないんだよ…

なんで俺を責めないんだよ…

俺のせいだって…



後悔で心臓が握りつぶされそうに苦しい状態の俺は



「沙来…俺……沙来、沙来っ…っっうぅ、…ごめんっ…」



こう口に出すのが精一杯だった…

沙来の顔すら…目すら

見れないくらいに…



辛くて、ただ


手を強く握ってた……