暇つぶしにショッピングモールを冷やかしながらブラブラと歩いていたら、帰宅するのにちょうど良い時間になったので家に帰った。


「ただい…、ま゛!?」


「お帰り」


何故か、我が家の玄関に幼なじみが眉間にシワを寄せ目を吊り上げて立っていた。


「お帰り〜」


その後ろに3つ上の姉が、ニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべていた。


最悪だな…。


逃げ出す隙さえ与えられず、幼なじみと姉に捕らえられて自室に放り込まれる。


「手荒すぎる」


「文句を言える立場だとでも思ってんの?」


待遇の不遇さを愚痴っては見たが、キレているアキによって一蹴されてしまった。


「お〜ば〜か〜さん♪」


姉が首の後ろから抱き付いて、耳元で囁く。


『清水先生の英語だけ避けてるんだってぇ〜?』


姉の言葉に驚いて、目の前の幼なじみを強く睨み付ける。


そしたら姉に耳を抓り上げられた。


「イタタタタッ!!!!」


「アキちゃんは悪くないでしょう!」


怒鳴った姉が呆れたように溜め息をついて、耳から手を離して言った。


「そんなバカな事してないで、頭でも冷やして少しは大人になりなさい」


と街角でゴミを見るような視線をしながらそう言うと、姉はアキを連れてリビングに向かった。


「―…マジで、ホンットーに最悪だ…―」


頭に手を当てて溜め息を付くように呟く。


あの意地悪な姉に授業をサボっている事と、一瞬でもお節介で親切な幼なじみを睨み付けてしまった事に対して、1人壁にもたれ掛かりながら深く自己嫌悪した。




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翌朝、姉が昨日の事を両親に告げ口しているものだと思い、身構えながらリビングへ向かったのだが、両親から怒られる事はなかった。


拍子抜けしながらも安堵しつつ、学校へと向かうために通学路を歩いたのだった。