「あ、俺はいいけど……」
と言って、拓海は私を見た。
拓海も、この微妙な雰囲気に気付いたのかもしれない。
本当は麻衣ちゃんとデートしたいくせに。
拓海にまで気を遣われるなんてな……
「いいじゃん。拓海、麻衣ちゃんとデートして来い。せっかくの休みなんだしさ」
私はにっこりと笑って、拓海の背中を押した。
「やった!じゃあお兄ちゃんは凜さんと帰ってね!」
「…ああ。じゃ…麻衣を頼むな」
「拓海、麻衣ちゃんに変な事したら…」
「ばっ!しっしねーよ!」
拓海は、笑顔の麻衣ちゃんを連れて私達のもとから離れていった。