私の素性がバレてからのいうもの、生嶋と話す機会というか、一緒にいる時間が増えた。
もう気を使って話す必要もないし、生嶋だって私には他の皆と同じように振る舞ってくれるし。
なんというか、楽なんだ。
「あ、そういえばケーキ、ありがとね。まさか本当に買ってくれるなんて思わなかったよ」
「あー、あれ?いいよ、実際助けてもらったんだし」
「はは、じゃあおごられとく」
「おう。おごられとけ」
あの時の私の言葉を覚えててくれた生嶋は、本当にケーキを買ってくれた。
しかもちゃんと四人分。
まぁ、いきなり家まで届けに来たことにはびっくりしたけどね。
渡り廊下を、生嶋と話しながら歩く。
この何気ないやり取りを、和弥に聞かれていたなんて、私は気づかなかった。