「そんなに質問攻めにしたら、凛ちゃんだって答えらんないでしょ。ほら、入口を塞がない。解散解散っ」
「水瀬…さん」
流石はうちの学級委員。
皆言うことを聞いて、私は無事に解放された。
「ありがとう、水瀬さん」
「だから優花でいいって。お礼するくらいなら、ちゃーんと話聞かせてね」
にっこり笑った水瀬さんに、私もつられて笑顔になった。
絶対に反対されると思っていたのに、意外にも反感の声は少なかった。
もちろん陰口をたたかれることもあったけど、クラスの皆は私の味方だった。
「で?先輩って普段どんな感じなの?」
「ど、どんなって…見たまんまというか……」
多分、水瀬さんと同じクラスじゃなかったら、きっと集団リンチっぽいことになってたんじゃないかと思う。
水瀬さんがいたから、私は無事に学校生活を送ることができたんだろうな。
「あーっ、凛ちゃんニヤけてる!」
「ににに、ニヤけてなんかないよ!」
和弥との関係がバレたことで、私の学校生活はガラリと変わった。
中庭で一緒にご飯を食べたり、図書室で待ち合わせしたり。
もちろんその度に注目されるけど、クラスの皆は応援してくれるし、生嶋も水瀬さんも普通に接してくれるし、皆にカミングアウトして良かった……私はそう感じたんだ。