拗ねた口調の和弥の顔は、相変わらず赤くて。
思わず笑うと、ムスっとしながら眼鏡を奪われた。
「え、和弥?」
そして、次に手をかけたのはヘアゴム。
スルリとゴムが外されて、ストレートの髪が本来の形に戻る。
「……もう、この二つは要なしだな」
「………」
「これでも文句言う奴いたら、そん時は俺が守ってやる」
「え?どういうこと?」
「どっちかっつーと、大変なのは俺の方だなこりゃ」
一人で喋り続ける和弥を見ていると、いつの間にか携帯までも奪われていた。
迷うことなく操作をして、誰かに電話をかけ始める。
「……俺。悪ぃけどさ、これから凛に何かあっら、よろしくな」
「ちょ…誰にかけてんの?」
「ああ、理由はすぐ分かるから。とにかく俺の目の届かねぇ時とか、頼んだぞ。…じゃ」
私の声は完全に無視されて、和弥は電話を切った。