迷うことなく視聴覚室の前に辿り着いた私は、はやる気持ちを抑えながら、ゆっくりとドアを開けた。




シン―――と静りかえった部屋に、思わず息を飲む。




「……か、ずや…?」




誰も見当たらない空間に、私の小さな声が響いて。


ゆっくりと足を踏み入れて音を立てないようにドアを閉めると、スクリーンの方から僅かな物音が聞こえた。




「………」




音が聞こえた方へ静かに近寄ると、見覚えのある髪の毛が見えてくる。




「りっ!?おま…、何で!?」




もちろんそれは和弥で、私に気付くと、まるで幽霊でも見たかのように目を見開いた。