私は財布を手に立ち上がると、足早にその場を離れた。




何なんだよ、和弥の奴!


そんなに私と話したくないのかっつーの!




私がやって来たのは、沢山の人で賑わっている海の家。


むしゃくしゃした気持ちを静めたくて。




「かき氷1つ、いちご味で」




和弥の分も買おうかと迷ったけど、辞めた。


商品を受け取って、さっき和弥がいた場所を見てみる。


すると、なぜかそこに和弥の姿はなかった。


―――まさか腹立てて帰ったとか……?




「…や、んなこと和弥はしねーか」




そう言って、かき氷を一口食べた時だった。




「…あのー、すみません」