単調な作業はいつの間にか時間が経っていて、時計を見ると午後6時を過ぎていた。
普段、部活をしていない私がこんな時間まで残ったことはなかった。
「あと少し…」
最初に頼まれていた分の資料綴じはとっくに終わっていたんだけど、担任の机の横に積まれた膨大な資料を見て、おせっかいながら全ての資料綴じを引き受けた。
部活を終えた生徒たちが、帰っていくのを見て、私も作業ペースを上げた。
全ての資料を綴じ終えたときは、もう空が暗くなりだしていた。
担任に資料を届けると、まるで私が神様のように拝まれた。
「先生、今度ジュースおごってください」
「そんなのお安い御用だ」
「ははっ、じゃあ失礼しますね」
職員室の扉を開けようと手を伸ばしたけど、手が届くより先に目の前の扉が開かれた。
そして突然目の前に現れた人物を見て、私は目を見開いた。