「ごめんな、村上。いつも助かるわ」
「いえ。夏休み近いから忙しそうですし」
「そう言ってもらえると助かる。じゃあ、頼むな」
一礼をして職員室をあとにする。
担任から預かった資料を抱えて、私は教室へと向かった。
別に学級委員ではないんだけど、水瀬さんも委員の集まりで忙しそうで、その代わりとして資料綴じをお願いされた。
カチン…カチン…と規則的に資料を綴じていく。
家に帰っても、何もしないとまた和弥のことを考えてしまいそうだから、こうやって何かの作業をしている方が落ち着く。
ヴヴヴ…とポケットが振動して、携帯を見ると夏帆からのメールだった。
『手伝えなくてごめん。先に帰るわ。』
メールを見て、私はふっと笑った。
心配しすぎだよ、夏帆は。
『大丈夫』と返信して、また作業に取りかかった。