心の中で笑いながら自分の席へ着くと、水瀬さんが私に気づいて声をかけてきた。
「凛ちゃん、おはよ」
「おはよう」
「なんかすごいね、生嶋くん」
「ははっ、そだね」
二人して生嶋を見ていると、その視線に気づいたのか生嶋がこちらを見た。
生嶋は困ったように笑いながら、「おはよ」っと口を動かして、私もそれに口ぱくで応えた。
「でも私ね、すっごいの見ちゃったんだよね」
「すっごいの?」
「うん。…なんかね、斎藤先輩と生嶋くんがその女の子を取り合ってたの」
「え……」
「斎藤先輩も他の人と一緒にいたんだけど……なんかこう三角関係…って感じだった」
「そうなんだー…」
あの場面まで見られてたなんて………
ほんと、あの時は余裕がなかったから、周囲の視線なんて気にも留めてなかった。
「あ、コレ秘密だからね」
「うん。言わないよ」
―――言えるわけないって。
それ、私なんだし。