夏帆は一度私の方を見て、また視線を前の方へ移した。


そして、ため息をつくと、ぽつりと言った。




「めっ…ちゃくちゃ気になるわよ。…でも、凛が話せるようになってからでいい」


「そっか……」




私は夏帆へ向けていた視線を、自分の足元へと移す。


夏帆と、こんな風に二人になるのは久しぶりかもしれない。


私はゆっくりと息を整えて、口を開いた。




「夏帆、聖剛さんと祭行った?」


「うん」


「じゃあ…………和弥、見た?」


「……うん」


「そっか。……一緒にいた人も、見た?」


「………」




私の問いには答えなかったけど、夏帆が頷いたのは分かった。