「夏帆~、ちゃんと行くから。離してよ~」
「問答無用!」
「鬼~」
「何とでも言え」
あれから夏帆に引きずられるようにして、私は家を出た。
いつまで経っても学校へ行こうとしない私に痺れを切らしたお母さんが、夏帆に連絡をしたらしい。
ちゃんと自分で歩くって言ってるのに、私の腕はいっこうに解放される感じはない。
勢いが衰えないまま、結局学校まで連行された。
でも、向かったのは教室ではなく、裏庭だった。
「………」
「………」
夏帆は何も言うこともせず、腰を下ろす。
そんな夏帆の隣に、私もゆっくりと座った。
「夏帆…。何も聞かないの…?」