どっちみち、文句を言われることには変わりはないのだ。

だったら、あたしだけお弁当を食べて遥にひもじい思いをさせるよりは、届けて「ウザい」と一言浴びるほうが何倍もマシ。

しょうがないのだ、遥は。

猫みたいに気紛れだから、ちゃんと帰ってこいと言うほうが無理な話で、親もその辺りはほとんど諦めているのに、あたし個人がどうこうできるわけもない。


「ふぅ〜ん、そういうモンなの。だから嫌だよね、女って」

「あっそ」

「こっちはつき合ってるつもりもないのに彼女気取りでさ、告白する勇気もないのにちづに八つ当たりでしょ? お門違いだよ」

「そうね」


まぁ、あたしも遥に八つ当たりしている時点でお門違いだけど。


「じゃあ、ちづに免じて今日は帰るよ。夜遊びもそろそろ飽きてきたし、いい加減勉強しないと学年首位から陥落だし」


鈍感なのか、八つ当たりされていると感じていないのか、遥はそう言って裏門へ向かっていった。

…てか、さらっと嫌味ですか。

あれだけ必死に勉強して入ったこの高校も、遥にとっては滑り止めレベルですか。