「ありがとう」


「お前さん、笑った方が男前だよ」


気をつけて行きなさい。と、婆さんは手を振った。


「ありがとう」


俺はもう一度礼を言って、そこを離れた。



……笑った方が?

と言う事は、俺…笑っていたのか!?

全然自覚してなかったな…。


まぁ ともかく、良い手土産になるな。

きっと あいつに似合う。



俺は、貰った簪を懐(ふところ)へしまい、花月楼へ歩みを進めて行った。