急げ! 鈴音が…。
俺は、花月楼へ行けるこの長い林道を全力疾走する。
鈴音 鈴音…
今 俺が医者を呼んでくるまで
待っててくれ…。
「!?」
あと少しで林道を抜ける手前、俺の目の前に何体かの影が行く手を遮った。
「どこへ行くのだ、健太郎」
「親父…」
その影達は親父を中心に、その周りを柄の悪い山賊紛いの男共が並んでいた。
薄汚い輩が俺の行く手を阻む。ニタニタと笑いながら。
「まさか。
“花月楼”とやらへでも行くのか?」
親父は不敵な笑みを浮かべながら、そう発した。
何故 親父が…
「図星か。はしたない」