「落ち着いて、聞いてね」
月明かりにほんのり照らされた鈴音の顔を見て、私は静かに息を呑んだ。
『私、今夜ココを出るの』
…え?
「ココを… 出る?」
聞き取れた言葉を鈴音に聞き返したら、鈴音は「うん」と頷いた。
「今夜、健太郎とココを出ます。…ごめんなさい」
ココを 出る…
それって…
「仲村様と… 一緒になるってコト?」
――「そうなるわね」
「昴お姉様…」
昴様が、静かにこちらへ歩み寄ってきた。
鈴音は、黙っちゃった。
「鈴音」
黙り込んだ鈴音に、優しい声で昴様は話し掛ける。
「それがどんなコトか、分かっているよね?」