どうして…?
そんなの知らない。
俺はただ…
『鈴音を信じたかったんだろ』
俺の方を向いた、龍馬の声。
そうだ…。
信じたかったんだ、鈴音を。
俺を待っていてくれた、あの輝く瞳も
何気なく、俺を呼ぶ声も
あの夜の嬉しそうな顔も
どんな小さなモノも、大切にしようとする仕草も
微かに震え、泣いたあの姿も
全部が俺をくすぐった。
俺だけの為にあって欲しいと、信じていたかったんだ。
「龍馬の言う通り、俺は鈴音を信じたかった…。
いや…、むしろ今も信じている。
あの言葉は、絶対に嘘だ」
あの言葉が真実だったのなら、あの夜の涙が嘘になる。
それなら俺は、あの夜の涙を信じたい。