私はもちろん


「はい」


って答えた。



鈴音は幸せに成れないのに、私は幸せに成ろうとするの…?


この身請けが嫌なワケじゃない。

むしろ嬉しいはずなのに、喜べない。


どうやって、私の身請け話を鈴音に伝えようか…。




そんなコトを考えたまま、ご主人との話を終え、私は廊下を歩いていた。







「あら、有月」

「あ… お疲れ様です」


ボーっと歩いていて、昴様の部屋の前で昴様に会った。



「お疲れ様。
どうかしたの? 元気ないわね」

「そう… ですか?」


心配そうな優しい顔で、昴様は私の顔を覗き込んだ。