『もう二度と、来ないで』
『すまなかったな』
鈴音と仲村様が離れ離れになって、どれぐらいたったのかな…。
“身分の違い”
たった一つで、さよならをしなければいけなかった二人。
あの時の二人の別れ際に、たまたまだけど通りかかってしまった。
――上手くお芝居、出来たかな…。
鈴音は、そう私に言ったの。寂しそうな横顔で。
鈴音は仲村様と昴様のために、自分の気持ちを殺した…。
自分のためじゃなくて、誰かのために身を引く決心をした鈴音。
どうして…、世の中はこんなにもひねくれてるんだろう。
あれから鈴音は、作られた仮面みたいに笑うようになった。