俺は、じっと黙って待っていた。
ある程度時間が経つと、鈴音に愚痴をこぼしていた客は、別の女に招かれた。
「どうもな、鈴音」
「いえ、私で良ければいつでもお話を聞かせて下さい。
ごゆっくりどうぞ…」
その客は、鈴音の部屋を出て行った。
今だ。
「鈴音」
俺が名前を呼ぶと、鈴音は振り返った。
「健太郎…」
俺の心臓が早鐘のように、バクバクと動いているのが分かる。
「俺と、もう会わないって…どういう事だ…」
なかなか言葉が出て来なくて、俺は鈴音に釘付けになる。
「そのまんまの意味だよ」
分からないの?と、鈴音は淡々と答えた。