「…昨日、あなたの父上がいらっしゃったんです。
その際に『息子に関わるな』と、言われたのです。
それで 鈴音は…」
と、有月は声を絞り出すようにそう言った。
くそッ、まさか親父が…
「お待ち下さい!?」
立ち竦む有月を残して、俺は玄関を飛び出した。
確かめなければ…、鈴音の本心を。
外から、鈴音の部屋の方へ回った。
外からこっそりと、中の様子を覗く。
鈴音は、客に酒を注いでいた。
鈴音の部屋は窓が開いていて、鈴音と客が会話しているのが何となく聞こえる。
本当なら、今すぐにでも飛び入りたい…。
だが、これは鈴音の仕事だ。下手に邪魔をする訳にはいかない。