ヒトは死ぬ

だが、また生まれ変わり

また 生きてゆく。


それを幾度も繰り返し、この世は成り立っている。





なんとも、不思議な話だ。


きっと、鈴音も喜んでくれるだろう。



そう考えると、俺の足取りはまた軽くなり、真っ直ぐ花月楼へと向かって行った。










「いらっしゃいませ…」


花月楼に着くと、玄関には有月しか居なかった。


「鈴音は居ないのか?」


「今、お客様の相手をしています」


「そうか。
なら、待たせてくれ」


「分かりました。
ですが…」


ですが…?
何だ?


有月は、口をまごつかせていた。深刻そうな顔をして。