そんな私に、更に大きなため息をついてこう言った。



「お前の姉役の昴と言ったか。
悪趣味な知人に彼女を売り飛ばす事も出来るんだがな」



このヒト、目が本気だ…。

もう 引き下がれない。

そんなの卑怯だ。



「それなら、昴お姉様には何もしないと約束して頂けるんですか」


「お前次第だ」


薄笑いを浮かべたその顔が、憎らしくて堪らない。




「…もう、健太郎には近づきません」

「鈴音…」



一番言いたくなかった言葉。


私の答えを聞いて、嬉しそうにこう言い残して帰って行った。


「危うく、健太郎の一生を台無しにするところだった。
その件はよろしく頼む」



私は、その背中を睨みつけるコトしか出来なかった。




「……鈴音」