「私は、本当に健太郎を…」
「戯けが。
なんとも安直な餓鬼の考えだ。遊女は遊女でしかないコトを忘れたか」
どうして、私の言葉が力を持たないの…。
私は自分自身の無力さに、黙ってしまった。
もう… 言葉が出て来ない。
立ち尽くす私を見て、ため息混じりにこう言った。
「どうやら、話し合いだけで済まないようだな。
『いくら出せば健太郎を諦める』」
その言葉で、一気に頭に血が上った。
「ふざけないでよ!!
私はお金のために、健太郎を好きになったワケじゃない!!」
黙って聞いている有月が驚くくらい、大きな声が出てしまった。