「お待ち下さい!
どうしていきなり、そんなコト…」
私は、立ち去ろうとした健太郎の父を引き止めた。
「そんなコトだと…?
健太郎はお前なんぞとは違って、将来 仲村の跡を継ぐ者なのだ。
それを、こんなみっともない遊女と色恋なんぞしおってからに…」
健太郎に似た声で、どうして淡々とそんなコトを言うの…
「どうやって健太郎に取り入った。
所詮、商売道具の身体でも使ったんだろ」
「私はそんなコトなんて…」
ずっと感じてた。
どんなに健太郎の近くに居ても、越えられないモノがあるコトぐらい…。
だけど…
気づいてしまったこの気持ちを、誰にも否定して欲しくなかった。
胸が痛い…。