そう吐き捨てて、俺は自室へと向かった。
その時の親父が、どんな顔をしていたかなんて、想像もしなかった。
その夜は自宅に籠もり、書物を読んでいた。兄さんの部屋で。
10年前のあの日のままの部屋。
掃除は使用人が行っているからだろう、埃は無い。
そういえば…
いつの間にか、親父は出掛けていたようだ。
広い屋敷に一人。
なんとも言えないような哀愁感。
早く一人前に成り、鈴音を連れて 何処か 知り合いなど誰もいない土地で、剣道の道場を開き、二人仲良く暮らそう。
俺は庭へ出て一人、無心に竹刀を振った。
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