そんな自己完結で、俺は今夜は大人しくしておく事を決めた。
鈴音だって、きっと落ち着きたいだろう。
そんな事を考えていたら、家の門で見知らぬ男とすれ違ったが…
きっと、親父の知り合いだろう。
あっという間に、自宅へ着いてしまった…。
「今 帰りか、健太郎」
玄関には、親父が立っていた。
「ええ、只今帰りました」
いつも通り親父には目もくれず、履き物を脱ぎ、上がった。
「話がある」
「…何ですか?」
仕方なく、親父の方へ向き直る。
「お前、何処ぞの遊女とうつつをぬかしているそうだな」
俺の動きが一瞬、ピタリと止まった。
遊女…、鈴音の事か。
「……、あなたには関係のない事だ」
言葉に詰まりながらも、俺はそう返した。