傷だらけになって倒れていた私を助けてくれたのが…

君です、片海君。


しばらく世話になったあの時“医者の勉強をしている”と言っていたのを、後々になって思い出し、今に至るんです。



いやぁ…、こうして話してみるとあっという間でしたよ」



なぁ、昴。と、主人は昴に優しい顔を向けた。

はい。と、昴は頷く。


まるで、本物の家族のようだった。


俺は一瞬、羨ましいと思った。


「素敵な話です」

「そう言って貰えると、なんだか照れくさいですねぇ」


主人は今更ながらに照れ隠しをするかのように、頭を掻いていた。