そんな虚しい日々が続いたある日の昼下がりに、店の前で赤子を拾いました。
元気に泣く赤子でした。
まるでわたしの代わりに泣いてくれているようで、励まされました。
そして、わたしはその赤子を育てる事にしたのです。
その赤子に、“鈴のような可愛らしい音(こえ)で笑えるように…”と意味を込めて、『鈴音』と名付けました。
当時一番幼かった昴と姉妹として、みんなで可愛がりました。
だけれど、鈴音は物心がついた頃から病気がちになっていました。
苦しそうな鈴音の姿を見て、どうにかならないものかと考えていた矢先に、わたしは出掛けた先で山賊に襲われました。