主人は、俺に鈴音の生い立ちを語り出した。
昴は終始黙っていた。
「今は亡き友人と二人で、この店を始めた頃の事でした。
この街は、捨てられた少女らがたくさん居ました。理由は、少年と比べて何かと不憫だからだそうです。
そんな少女らを救えないかと始めたのがこの店です。
情けない話、この御時世では、こんな方法でしか、この店は成り立ちませんでした。
少女らには申し訳ないと思いつつも、一同 共に頑張って来たつもりです。
その最中、私用で出掛けた友人が山賊に殺され、わたしは途方に暮れました。
必死に働く少女らに弱音を吐く訳にはいかず、泣くに泣けないまま、穴の空いた心持ちでした。