部屋の中で、昴と主人の話しているのがうっすらと聞こえる。
「通しなさい」
「わかりました」
そんな会話が聞こえて間もなく、昴は「お入り下さい」と俺を招き入れた。
「昴、お茶を頼むよ」
「かしこまりました」
では 失礼します。と、昴は退室した。
「いらっしゃい、片海君。
少しばかり散らかっているが、座ってくれ」
「ありがとうございます。あまり気を使わぬよう、お願いします」
俺は、主人と向かい合うように適当に座った。
「すまないね、逆に気を使わせてしまって…。
昴に聞いたよ。
わたしが留守の間に、足を運んでくれたんだってね。どうしたんだい?」
少し疲れている様子だな。