息を軽く切らしている鈴音と、その頭を撫でる健太郎。


俺はそれをボーっと眺めていた。



二人は少し会話をした後に、手を繋いで歩いて何処かへ行った。

幸い、二人共俺の存在には気付かなかったようだ。



はにかんだように笑う健太郎

照れくさそうに笑う鈴音


恋人同士のように、幸せそうな二人。



そんな二人の姿が、残像として俺の頭の奥に焼き付いた。


嬉しい。



だが その反面
胸が痛む…。

何故なら





二人が結ばれる事は
皆無に等しいからだ。



二人はお互いに身分が違う。


親父は、この事を赦したりはしないだろう。