ずいぶん綺麗な夕月夜だな。
さて…
行ってくるとするか。
不意に思い出したかのように、俺は筆を止め立ち上がり、家を出た。
鈴音を引き取る。
ヒトの為にも医学の為にも、必要な研究だ。
きっと、店の主人も承諾はしてくれる筈だ。
だが 問題は…
あの主人を捕まえられるか、だな。
小器用なヒトだ。
そのせいもあるのかも知れないが…多忙だ。
だが 別に悪い匂いは無く、穏やかで…
どことなく、俺の祖父を思わせる。
流石にこの時間なら、まだ居るだろう。
月が出ているとは言え、まだ夕暮れ時だ。
「………?」
誰だ?